②新たなシックハウスの原因はカビとダニ
問題建材が皆無になったおかげで、 全くシックハウス問題が無くなったのかと言えばそうではないようです。
国民生活センターへのシックハウスの相談件数は、シックハウス法の施行の2003年をピークにだんだんと減少こそはしてはいますが、ホルムアルデヒド濃度が削減された割にはいまだに発生しているのが実情のようです。
なぜ無くならないのか? 考えられる理由としては3つほどあります。
①利用制限のある13物質の代替物質による反応が存在する。
②住宅では問題が無くなったが、規制対象外の安価な輸入家具による汚染が存在する。
③カビ・ダニという生物由来物質による喘息などの相談事例をシックハウスの相談として処理している。
①②の理由もあるでしょうがそれは限定的で、
③の(カビダニ)理由による問題が最大の要因であると、私は思っております。
あらためて、シックハウスとは何か?
WIKIPEDIAより
「(シックハウスの」概要
(シックハウスの)原因物質も化学物質だけではなく、カビや微生物による空気汚染も原因となりうる。」
とあります。
皆様、シックハウスというと化学物質だけが原因と思っておりますが、「室内空気の汚染による病気」がシックハウスですから、原因物質は他の物質による汚染もあるわけです。
私の推測を裏付けるように、文部科学省の統計を見てみると、小児ぜんそくの発症が右肩上がりに増えているのを確認できます。
以上の説明のように、シックハウス対策法により、木質系建材の接着剤の溶剤に含まれていたホルマリン(ホルムアルデヒド水溶液)がほぼ無くなりました。
皮肉にも、ホルマリンは強力な防腐剤で、(理科の整体標本でおなじみです)、今まで防腐剤としてカビを防いでいた要因が消え去ったことで、今度は室内がカビ・ダニの発生しやすい環境となったとも考えられます。
現代のシックハウスは化学物質が原因ではなく、カビダニが原因だということです。
(資料提供:松尾設計室)
カビの発生する環境は、ダニの発生する環境と一致するし、カビの胞子を餌とするダニもあるという。
ダニが発生しないようにするために、一番根本的な対策は「湿度コントロール」です。
ダニは、マイナス20℃の寒さでもプラス50℃の高温でも死なない生物です。
しかし、湿度が50%を切ると活動が低下し、40%を切ると自分のからだの水分を保持できず、干からびて死んでしまいます。
つまりは、1年を通じ湿度を理想的な状態でコントロール可能な家ができれば理想です。そのためには断熱と気密の性能の良い住宅であることが絶対条件です。
なぜなら、室内に結露の生じている部分は湿度100%。カビダニの温床だからです。
そして、気密の取れていない住宅は、換気や空調がうまく働かず、湿度のコントロールもできません。
よく気密断熱に否定的な住宅屋が「高断熱高気密にするとカビダニが多くなる」ということを言いますが、それは全くの逆です。それはいづれご紹介いたします。
さて、近畿大学の岩前教授は、2万人のアンケートにより、気管支ぜんそくや、様々なアレルギー疾患は、根本原因が「断熱」の悪さが原因だと結論を出しています。
増え続ける小児ぜんそくは、住宅の性能不良により住む人の健康被害が、「化学物質」から「カビダニ」へとシフトしていることを間接的に物語ります。