堀部安嗣氏の理想とする建築「利他の建築 普遍の建築」

住宅設計
相模 稔相模 稔
堀部安嗣氏の理想とする建築  利他と普遍

 

堀部氏の建築に感じられる静謐さは、窓まわりのディテールに秘められている。

2016年 兵庫県三田市で行われた「里山住宅博」にて

ご招待建築家に与えられた特権は北側の丘陵地の絶景です。

見事に借景を生かした純粋な開口部に、関係者は皆が絶賛していた。

その他、土間の処理・外壁の処理など、創意工夫を読み取ることができた。

 

 

 

住宅博のトリで堀部さんは講演をおこなった。

 

「近ごろの金持ちの家は、エゴむき出しで見ていて具合が悪くなる。

住宅は少なからず、公のもので、作られることで地域や環境の良くなるよう、

利他でなくてはならない。」

 

 

「バイオリンの形が作られて400年は経るが、その形は普遍である。

例えば、真っ白い、四角い箱ですごくいい音色の楽器が作られたとしても、

それはバイオリンではない。

日本における住宅も同様で、時代に消費されない普遍的な形があると考え追及している。」

 

「伊勢神宮は1000年もの時を経ても、これ以上いじる必要が無いほど完成されている。

疲れた時には、つい足を運んでしまう。20回は訪れた。」

 

堀部さんの建築哲学を端的に表すキーワードは、

「利他の建築  普遍の建築」 ということだ。

 

私らのデザインの師匠、天野一博さんと驚くほどの共通があることに驚く。

堀部氏の心のオアシスが神宮である一方で、

天野氏の場合は、それが桂離宮であり、毎年のように足を運び、

離宮の写真集が座右の書の時があった。

 

伝統建築のエッセンスを読み取り、抽象的に現代流に表現することに夢中な時代があった。

例えば、ニューズラインの社屋における外部柱の連続と、浮遊感は離宮に起因するものだ。

20年ほど前の設計だが、まったく古びれていない。

流行に左右されないデザインにより、精神的耐久性が極めて高い。

 

建物が生き残ることがエコだ。

愛されない建物は物理的耐久性が尽きる前に、

デザイン的な劣化で嫌気がされて、壊されてしまう。

 

また、緑を植えることで、勝手に緑は熟成していく。

そして、周辺環境に対して貢献していく、「利他の建築」となる。

 

さらに思うのは、A・レーモンドの功績も重なるものがある。

普遍性、自然さ、素直さなどは、日本の木造建築の備えていた素養であり、

抽出して建築表現をしている。

 

我々のやりたいことも そういう建築だ。

すでに抱いていたこと。 堀部さんにじかに対面できたことで、

私はもちろん、設計スタッフも再確認できた。

相模 稔
代表取締役

相模 稔

オガスタの社長。 工務店経営のほか講演活動なども行う。 アメブロ「おーがにっくな家ブログ」もよろしく。

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