Q値=1.0が凄いわけ
「金衛町の家」は、Q値=1.0の超高性能住宅です。
すごいね。という人がいましたが、本当にこのすごさが分かっているか謎です。
これをだれでもすごさが分かるように記事にしてみました。
Q値=1.0。 この数字だけでは何のことか分かりません。
Q値とは、内外温度差1℃で建物から外に逃げていく熱の量/床面積当たりの係数です。
まだ、なんのこっちゃなので意味が解らない。
では さらに具体的にします。
金衛町の床面積に相当するのが、181㎡。(約55坪)あります。けっこうでかいです。
外気が0℃で、室内を20℃で維持したいとします。
その差が20℃ですが、この家の場合、太陽からの熱と内部の人間の体温や家電などから、1300wの熱が生じていることになるそうです。
そこで暖房しないでも7.2℃室温が上昇します。(1300w÷181÷1.0=7.2℃)
暖房するには室温の20℃との差の12.8℃だけ暖める分の熱があればいいということになります。
これで必要な暖房エネルギーが計算できます。
Q値は どれくらいの暖房能力が必要かをさっと計算できるとても便利な係数なんですよ。
式は
暖房熱エネルギー= 内外温度差x延べ床面積xQ値
必要な暖房の熱=(20―7.2)x181x1.0= 2317w
と導かれました。
少ない熱でも暖かい
具体的には、ドライヤーの発生熱が1300w程度ですから、建物の2か所でドライヤーを動かしっぱなしにしていれば、家じゅうを20℃でキープできる程度の暖房熱で良いということになりました。
よく普及している10畳用の石油ファンヒーターで。3600wの熱が出ますから、1台で家じゅうの暖房熱が足り余るという計算です。
仮にこの家の断熱性能が、次世代省エネ基準並みだったらどうであるか?
いわゆる新築で普通に建てられている家の断熱性能です。
新潟市の次世代省エネ基準はQ値=2.7です。
内部発生熱は一緒だとします。1300w。でも断熱性が悪い分、家から逃げる熱が多いので、(Q値2.7で割ります。1300÷181㎡÷2.7)すると室内の自然温度差は2.8度になります。
後の計算式は同じです、
(20-2.8)x181x2.7=8406wとなります。
「普通性能」の家とは 寒い家
しかし、次世代省エネ基準はC値という 家の隙間もC値=5までを容認しておりますので、気密性能の悪い分で暖房エネルギーは130%以上に増えてきます。
そうなると11000w程度の暖房エネルギーが必要です。
もはや、1台の暖房器具で暖房容量を満たすのは、大型薪ストーブくらいになります。
自然系の住宅会社の施工事例をみるとやたらと薪ストーブが入ってますが、
この考察と関係があるのだとおもいます。
薪ストーブをいれない住宅では、石油ファンヒーターで3台ががフル回転する必要があります。
もちろん現実的には、この性能だと部屋は細切れ化し、暖房器具は各部屋に設置することになる。
そして光熱費がかかるから、人のいる部屋だけ暖房を炊いている。
それを局所間欠暖房といいます。
いわゆる昭和の家の暮らしと あまり大きく差がないということになります。
このように数字を具体化することで、
どのような暮らしと空間が可能なのかが見えてきます。
Q1.0住宅の世界は 昭和の家とは別の次元なんです。
家づくりをお考えの方:
性能の悪い家で、大空間をうかつに造らないことです。
それと 住宅会社を選ぶ際には このような「住宅の燃費」を確認することです。
これからの世の中、定量的に確認しておかないと後悔すると思います。
しくじると、デカくて燃費の悪いアメ車を一生乗れるようなものです。