松尾式 小屋裏エアコンは快適
網川原の家Aは、小屋裏のロフトを空気調整室として、熱交換換気扇と、壁掛けエアコンを設置している。 まずロフトに 換気の給気を行い、冷暖房で温度と湿度を整え、
そこから2階の各部屋へ パイプファンで送風している。
関西エリアは最高気温が35℃超える日が続き、冷房がうまくいかないと満足されない。
松尾設計室では、標準的に小屋裏エアコンを採用しているようだ。
だいぶ前の建築知識にも紹介されていたし、福井パッシブハウスも見学もしていたので
やり方は知ってはいたが、新潟の場合、2階のホールに1台付けていれば何とかなるケースが多く、
なかなか松尾方式を再現する機会がなかったが、網川原Aでは本格的な採用になった。
夏の 寝室の温度と湿度の状態
小屋裏が一番冷えて、2階とは温度差がある。
小屋裏のエアコンは、設定温度24度でこの夏はつけっぱなしにしていただいた。
そして2階の寝室に、おんどとり(温度ロガー)を設置し、ひと夏の温度と湿度の変化を測定させていただいた。
その結論は 大成功でした。極めて快適。
お客様も 朝まで安眠がなされたと言うが、数値の上からも証明できる。
観測期間は 7月15日から8月22日まで。
寝室の平均室温は26.7℃
平均湿度は54.3%になっている。
これは新しい 完全空調のされている病院のような、体に負担のない 理想的な温熱環境だ。
不快指数でみても 暑くない。
赤い線が温度で、室温はびたっと変化がなく安定している。
黄色い線が湿度で、40%から60%の快適ゾーンで終始 留まっていることが分かった。
特に 最も湿度の低い時には 湿度は40%まで低下しているのにびっくりした。
気象庁のデータでは、2017年7月の、新潟市の平均湿度は81%であったとのこと。
一般的な住宅において、湿度が60%を切ることも困難なはず。
湿度40%まで下がる時があることにはびっくりしました。
調べると、ちょうどその時は外気温が35℃程度とかなり高い日時で、冷房運転がかなり強くされていたと思われる。 エアコンの室内の熱交換器がかなり冷えて、結露による除湿が強く行われ、湿気が取り除かれたからである。
その逆で、最大湿度が68%と最大値になったときの外気温は25度と低く、さらに外では雨が降っていた。冷房がほとんど稼働してないために除湿が促されていない。
猛暑の時ほど室内の湿度が低くなり、むしろ快適になることが分かった。
夏の夜に熟睡できない理由
ここで、一般的な住環境を思い起こして、寝室の様子はどうなっているのか?
熱帯夜をしのぐためには、 室内の壁掛けエアコンで冷房させたまま寝ることになる。
気流が体に触れると体の表は冷えるが、 ベット側の背中は熱がこもり暑い。
熱い寝湯の温泉に浸りながら、冷たい雨に打たれている気分である。
表と背中の温度差が気になり寝返り頻度が増す。
(画像:沢井製薬のサイトより転載)
実際に冷房の風が つねに体が当たっていると 自律神経が狂ってくる。
冷房病という言葉もあるくらい、エアコン冷房嫌いの方も多い。
数時間タイマーで途中に運転が止まるようにすれば、切れたとたんに汗ダルマになって目が覚める。
風が室内で生じているということは、音も生じていている。
寒さ・温度差・気流・音と 脳への刺激が多く 睡眠が妨げられる。
深夜に目を覚ますこともたびたびである。だから朝になっても疲れが取れない。
こんな日が続けば当然夏バテにもなるし、昼間の仕事の効率にも影響が起こってくる。
住宅の役割は、疲れを取り除く場所であることだと思うが、
安眠できない家は 価値が低いと言わざるを得ないと思います。
フロアの小屋裏エアコンの場合、直接的な風がなく、
寝室への送風量は 寝室エアコンに比べて1/3までに抑えられているので音もより少ない。
(網川原の家Aの場合は、寝室のクローゼットに冷気を落としたのでなおさらだ)
就寝時の刺激が少ないので快適である。
さらにロフトの温度は、寝室で設置した時よりもよりも低い温度で冷房できるために、
除湿効果が高くなる。
さらに2階の天井面の表面温度は、一般的な建物に比べたら低くなる。
一般的な家は、屋根裏が一番住宅の中で熱くなる。
小屋裏の換気不足の家になってしまうと、小屋裏の熱で2階天井が高温になりオーブンの中で横になった状態になる。
小屋裏エアコンはその逆で、天井からの冷輻射を受けて涼しく寝ることができる。
そのために空気温度以上に涼しい体感である可能性が高い。
観測したデータによれば、寝室の平均的な状況は、
寝る前には湿度が50%程度。 家族4人で寝てらっしゃったが、
人間からの発生する水蒸気で、起床時には60%程度まで上がりピークになる。
今回の観測の結果。
松尾式小屋裏エアコン冷房は 大成功だったと結論づけました。
小屋裏エアコンをおススメする住宅の条件
納戸を設ける余裕がなくて、ロフトが欲しい人は、
ロフトで空調できるこの方式をお勧めしたい。
今後オガスタでは、単なる床下エアコン暖房だけでなく
冷房も含めての全館空調を 標準的にご提案していきます。
この小屋裏エアコン方式だけでなく、別の方式も併せて、
予算とご希望に合わせて最適になものを!
(欲しいのは 朝までの熟睡である)
詳しくは またの機会にご紹介いたします。
(ダクトエアコンの全館空調をにおわせた記事でした。)