冬の過乾燥対策に衣類の室内干しがどれほどの効果があるか?
調査物件は「小針の家」 床面積がそれなりで大きいため、Q値は1.43と、
3種換気ながらそれなりにQ値は小さくなる。
やや乾燥気味とうかがって、2つほどアドバイスさせてもらった。
① 入浴後、風呂ふたを開けたままにして換気扇を止めてください。
*事前にCO2濃度を測定し、止めても十分な換気量があることを確認
② 脱衣所に衣類をほして、干しているときにはドアも開けっ放しにしてください。
この2つで相当量の水蒸気が供給される。
以上の対策を施して数日間、生活してもらった。そして、
データロガーの記録した温度湿度の変化はご覧のようになる。
オレンジ色:1階リビング湿度
黄色: 2階寝室湿度
青色: リビング温度
赤色: 寝室温度
結論を先に言うと、ほぼ快適ゾーンを湿度は上下している。
① 家族が帰宅後、夕食の炊飯やお風呂の出入りで湿度が上下している。
② 夜の12時ごろ洗濯を干す。するとリビングの湿度がピークになる。(50%手前)
そこから衣類が乾燥するとともに湿度が放物線を描いて低下する。
衣類は「朝にはジーパンまで乾く」とのこと。
③ 寝室は建具を閉めて寝る。人間の吐息などの水蒸気で湿度は上がるが、50%ちょっとのところで均衡し朝を迎える。
⑥ 寝る前に床下エアコンの設定温度を、あえて高めに設定し、安い深夜時間帯で躯体を暖めている。
その影響で、じわりと起床までリビングはじわりと温度が上がっている。
⑦ しかし、寝室の建具を閉めている関係から、寝室は18度付近で安定し、50%の湿度と相まって、喉が乾かぬ程度の理想的な安眠環境だ。もちろんエアコンやファンなどの音もしない。
④ 起床後の生活活動でリビングは湿度が上がるが、みんな家族が外に出るので、換気とともに水蒸気が排出され寝室・リビングとも乾燥してゆく。
⑧ 日中は床下エアコン設定温度低め。じわりと室温は低下し、家族の帰宅時には20℃を切る程度まで下がる。
⑨ リビングの室温に物足りないと、補助の壁掛けエアコンをつけると23℃程度まですぐに暖まる。
そしてまた昨日と同じパターンで波形が変動する。
注目すべきは⑨付近のリビングの湿度。
洗濯物を干すと、湿度が急上昇している。
PM7:00~12:00までに3つの湿度の山があるが、
炊事と浴槽のふたを開けて風呂の換気を切っている影響だ。
しかし、湿度は40%を超えることが無い。
12時に洗濯を干すと急上昇。
この山が洗濯室内干しの加湿能力を意味している。こっちのほうが有効だ。
調査前は「早く乾いたほうがいい」と思い、ファンの風で、衣類をあおったらいいのではないかと思っていたが、全くそれは不要で、むしろじんわり乾いてくれた方がよさそうだ。
どうせ朝にはジーパンまで乾くし。
そういえば、私もドイツの生活時代は、あまりに乾燥するので、ハイツング(パネルヒーター)に濡れたバスタオルをかけておりました。 そんなことも思い出した。
ともあれ、3種換気での全館暖房は過乾燥になりがちなので、お風呂と室内干しの両方が有効であることはよく分かりました。 特に室内干しです。
おまけ: 光熱費はどうであったか?
このご家庭はオール電化。 1月の電気代ですが、Q1.0住宅「金衛町の家」とほぼ同じでした。
断熱性能では1ランク 低いに、光熱費が同じであるのはどういうことか?
理由:
① もちろんQ1.0「金衛町の家」が10坪も大きい。暖房領域が広いこと。
② 専業主婦と共働きの関係で、日中消費電力に100Kw/h程度の差があること。これで4000円は違っている。
③ 両者は、深夜電力時間帯でのエアコン設定温度の違いがある。 これでも少しは料金的な違いがあると思う。昼間留守になる家は「小針の家」方式でもよかろう。
専業主婦で子育て世代は、在宅時間帯に十分な暖かさがあったほうがいい。
「金衛町の家」のような24時間連続運転がよかろう。
皆さまがたご参考にされてください。