断熱性能を上げるのは暖房を省くことが目的
熱は高いところから低いところに流れて出ていく定めにあります。
この物理の法則(エントロピーの法則)には逆らうことができません。
家の外が寒い。家の中は暖かい。
冬には温度差が生じるので、室内の熱は外へと逃げていきます。
熱が逃げていくのを遅くさせる。それが「断熱」です。
断熱性が良ければよいほど、熱の逃げていくのが遅くなる。
別の言い方をすれば「保温性が良い」とも表現できます。
それでも熱は逃げていく。
逃げていった熱の量だけ、家の中に熱を発生させれば室温が釣り合い一定になる。
その熱を加えることを「暖房」といいます。
しかし、熱をやたらに発生するわけにはいかなくなりました。
現代の地球は温暖化という問題を抱え、1次エネルギー削減は待ったなしの課題。
家計においても過去10年で灯油代は2倍に増し、電気料金値上げも度重なっている。
「暖房を削減すること」が断熱の目的です。
無断熱住宅とは
日射からの熱と、体温や生活家電からの内部発生熱の合計と、逃げていく熱が釣り合えば、暖房はいらなくなります。
そのような家を「無暖房住宅」といいます。
関東ならほぼ無暖房住宅に近い住宅は実現が可能ですが、日射に乏しく準寒冷地の新潟では非現実的です。
最低限の暖房器具で最大の快適空間を実現するには
断熱性を上げれば上げるほど快適になり、健康面でも良い室内環境となっていきます。
その反面、建築費は放物曲線を描いて上がっていきます。
一定まで断熱性が高くなると、1台の床下エアコンで全館が快適になる水準に達します。
床暖房が無くても床が暖かく、各室への個別の暖房器具が省ける水準が存在する。
この均衡点から逆算して断熱仕様を決めることは極めて合理的です。