3世代家族と猫のゆとりある暮らし「五十嵐の家G」
3世代家族と猫のゆとりある暮らし
設計:一級建築士事務所ma ヤマシタ マコト 監督:山田 剛
- コンセプト
- 交通量の多い国道に面した飲食店付きの住宅を、店舗無しの二世帯住宅として建て替える計画である。
施主から要望は、家族の団らんを大切にしながらも、家族それぞれにプライベートな空間を持つことだった。
大人4人、子供2人、猫1匹がそれぞれの距離を大切にしながら、いかに心地よく暮らせる家とするかがテーマとなった。
- 外観
- 大きな切妻屋根で覆われた総二階(一部吹抜け)のシンプルな外観である。
庭に面した南側には大きな開口をあけ、西側は西陽を嫌って開口を最小限に抑えており、面によって表情に変化を付けた。
外壁は施主自らが黒く塗装した杉板の横張りである。存在感の強い住宅になったが、街並に対しては、庭木の緑を際立たせる良い背景となったと思う。陽が沈むと建物自体は周囲の暗さに溶け込み、かわりに通りに面してあけられた大開口から暖かい光が漏れてくる。
エントランスのポーチのみ、杉本来の色のルーバーで囲い、屋根の色はアクセントとしてえんじ色を選択している。
- 内観
- 家族の誰もがアクセスしやすいように、台所を住宅の中心に据え、またこれを回遊できるように計画している。
いちばん陽当たりのよい南側を、吹き抜けを有するリビングダイニングとして、家族全員が集まる大きな溜まり場とした。この大きな空間には、子供達が並んで宿題のできるカウンターや、ちょっとこもれるベンチスペースなどの小さな『居場所』を用意している。吹抜けを見上げると、子夫婦、孫姉妹の部屋の小窓があり、通風を確保すると同時に、上下階での意思疎通をとることができる。
まわり階段を上がると、ふたりがならんで使える大きな洗面コーナーを含む階段ホールで、このホールを介してそれぞれの個室にアクセスする。
- 設備
- 階間と床下とにルームエアコンを各1台設置し、適所から冷気・暖気を室内に取り込む形式をとっている。屋根面、外壁面ともに充分な断熱材が充填され、上下階温度差は極めて少ない。
冬季は、南面の大開口から主室に充分な採光を得て、暖房負荷を軽減する。夏季には、断熱ブラインドおよび外部の小庇に簾を下げることで、陽射しから家を守るようにしている。
- 構造・規模
- 敷地面積 264.54㎡(約80坪)
延床面積 137.16㎡(約41.5坪)
木造在来工法 二階建て