ちいさなアトリエのある住まい「赤塚の家C」
設計:阿部 誠治 / 監督:野口 一弥
- コンセプト
- 見晴らしのよい東南の角地での建築計画です。平屋のアトリエ部と二階建ての母屋、二つをつなぐパティオで構成しました。将来的に創作活動をご検討されていることもあり、思い切ってハナレとしてのアトリエを提案しました。方位性に素直に配置した母屋、角田弥彦への軸線をもつアトリエが角度をもってつながりあいます。地区計画により外壁後退が定められたエリアですが、条件を満たそうとすると中途半端な空地が生じてしまいます。そこで北側は将来的にサービスヤードを増築する余地をもたせるために大きく離隔させました。このことが結果的に悠々としたたたずまいの良さ、山並みへの眺望の補正、深遠なアプローチの創出につながっています。
- 外観
- アトリエは将来的な拡張性と発展性を考慮にいれ交差点付近の視認性のよい位置で、愛らしい素材感と風合いをもたせました。地域のランドマークとなるように意識してはいますが、突飛な形での悪目立ちではなくスッと自然に受け入れられる形態であること目指しています。ハナレ側からも直接中間領域にアクセスできる点も楽しいポイントです。街路樹のケヤキの背景として色を違えた切妻屋根の2つのヴォリュームはとても自然な佇まいになったと思います。外周を囲うように設けた板塀は透過性を調整できるように無双大和塀としました。
- 内観
- 内部の印象を決定づける天井と壁の仕上は建て主さんのDIYによる漆喰仕上です。主だった開口部はFIXですがパティオにつながる部分が木製の製作引き込み窓となっています。主窓には引き込みの障子を設けました。吹き抜け直下の広間、開口部に面した広縁のような空間、漆喰壁につつまれるアルコーブ。ワンルームのなかでも居心地が異なる場所をつくろうと試みました。脱衣所からテラスドアを介して北側につながるようにサービスヤードを増築できる余地を残しています。駐車場からもダイレクトインできる位置にしているのでアウトドアグッズの置場にぴったりだと思います。DIYでの増築に期待です!
- 規模・構造
- 敷地面積:284㎡(86坪)
延床面積:109.35㎡(33坪)
木造在来工法 2階建
- 性能
- 耐震等級2以上
Q値:0.89[W/㎡K]
Ua値:0.32[W/㎡K]
暖房負荷:18.2[kWh/㎡]
冷房負荷:13.9[kWh/㎡]
空調計画:床下エアコン+小屋裏エアコン