吉島家住宅
先日岐阜に研修に行ってきました。
建築実例の空間体験や工務店運営にまつわるあれこれなど、幅広く勉強させていただきました。
空間体験の中で強く感動したのが、飛騨高山の「吉島家住宅」。
国の重要文化財に指定されているこちらの建物では、
陰影の美しさ、大空間とハイサイドライトの織り成す劇的な空間、大工技術の巧みさなど
素晴らしい体験でした。
その中で、伝統的な塗装材料を用いた色使いを参考にしたいと感じました。
渋い赤みの色使いが、木の建物に映えます。
日本では江戸時代から製造されているとされる、ベンガラという鉄さびを用いた素材です。
感動を忘れないうちに、自分でも活用できないか実験してみます。
ベンガラ漆喰
漆喰仕上げの基本色は白です。
漆喰材料に、顔料を混ぜることで色つきの漆喰をつくることができます。
既調合の漆喰材料に、2種類のベンガラを混ぜてみました。
塗りたての状況がこちら。
塗ったばかりだと、濡れ色の美しい発色です。
乾燥すると表面が白けてきます。
この状態で触ると、手に白っぽい粉がつきます。
美しい濡れ色をだしつつ、表面の吹き出物をおさえるため、油を塗っておさえました。
色は渋みのある赤色となり、手にもほとんどつかなくなりました。
ベンガラは酸化状態にある素材であり、空気中で安定しています。
そのため科学的な変化が起こりにくく、耐候性・耐久性に優れた顔料です。
古くから世界で使用されており、今なおその発色を残していることからも素材の強さがうかがい知れます。
長い時間と風雪に耐えてきた素材は、なによりも説得力があります。
建築表現の1つとして、有効に活用できそうです。