杉板外壁を塗装するケース

自然素材
相模 稔相模 稔

 杉板外壁を塗装するケース

杉板で塗装をする目的は、
① 着色による美観の意味と、
② 防腐剤を浸透させて耐久性を向上させる意味合いがあります。
例えば「巻の家」は杉板をキシラデコールという代表的な塗装を3回も塗りました。
キシラデコールの説明より
「●日光や風雨に強い耐候性顔料の効果で鮮明な色が長持ち、長期間木材を保護します。
●木材に浸透し、表面に余分な塗膜を作りません。木の通気性を保つため木の呼吸を妨げないので塗膜のフクレ、ワレがおこりません。
●木材の内部に浸透し、内部から防腐・防カビ・防虫効果を発揮します。」

塗り替えを少なくする方法

「外壁に木を使います。」というと、
「塗り替えで大変ですよね。」という方が多くいらっしゃいます。
新品同様の 変わらぬ表情を維持しようというのであれば、サイディング並みのサイクルでの塗装をし続ける必要があるでしょうけれど、 塗り続けないと性能を維持できないサイディングとは異なるので、経年変化を気にしなければもっとラフに塗装を省いてもいいわけです。
それとおまけですが、木の塗装というと ピニー色のような 黄色身が強いものを選ぶ人がいますが、黄色の顔料は紫外線による退色が早いのでお勧めしません。
黒・白のような無機色は、そもそも色が無いので退色に強いです。
さらに 赤は弁柄がもともとの顔料で退色に強いです。
同様にこげ茶は、黒と赤の間で退色しにくい。 色選びにもコツが必要です。
私ども、自家製塗料を試みた際には、金沢の東茶屋街と同じように、弁柄(赤)を用いました。
余談ですが、先日金沢の方と茶屋街の弁柄塗装についてお話を伺いました。
やはり今でも景観地域では伝統的な手法で塗られていて、地域住民のお祭りのようにみんなで楽しみながら塗ったりもするとこのと。
さて、
塗装をした場合、杉の板は湿気と乾燥で伸び縮みするし、
雨に洗われるので ゆるやかに顔料は取れてきます。
「少しぐらい剥げても味わいがある。」そう言える人だけが杉板塗装を選ぶといいでしょう。さらに、コーキングや特殊な機械は不要ですから、塗装屋でなくても DIYで濡れるのがみそです。
 特に1階部分であれば足場がいらないので、特に管理しやすいです。
もしも、出来立ての状態でなるべくそのまま変わららい外壁がいいというのであれば、ガルバをお勧めします。

長持ちしている杉板外壁の、新潟県での事例

新潟県におけるロングライフな杉板外壁の塗装状況の事例として
昭和41年竣工のこの歴史的な木造建築は、今もなお美しい当時のままの杉板外壁で健在です。
メンテナンス状況を整理しますと、47年前に杉の板は貼られて張り替えはしていません。
再塗装も20年以上前に1度なされただけで、そろそろ2度目の塗装をするかどうか検討しています。
(その後、塀の塗り替え作業を手伝いましたが、キシラデコールを用いてました)
他の事例では「コマチ」でご存知のニューズライン(新潟の情報出版社)の本社社屋の外壁も杉板外壁です。
こちらは軒のでないデザインだから雨風や紫外線にさらされておりますが、15年ほど経過しても問題なく機能しております。
こちらも新築時にキシラデコールを1度塗っただけでそのままの状況です。
最初に塗られた色がライトグレーで、その後、顔料はかなり落ちていきましたが、杉の経年変化色もライトグレーだから、変化が分かりにくいという知恵がそこにはあります。
ウッドロングエコという 塗装しないで保護して終わりのやり方と、塗装するのでは
塗装の手間の分だけ 塗装料の分だけ費用は増えます。
いずれのやり方でも、サイディングなどより大変に長持ちします。
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相模 稔
代表取締役

相模 稔

オガスタの社長。 工務店経営のほか講演活動なども行う。 アメブロ「おーがにっくな家ブログ」もよろしく。

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