手仕事で住宅がつくられない理由
大手ハウスメーカーの仕様を観察するとおもしろいことが見えてきます。
好む仕上げに大きな特徴があります。 木造住宅を売りにしている一部のメーカーを除いて、結論から言うと、工業製品のインテリア建材を使いたがります。
例えば、「内装には調湿性のある仕上げで」
というと「珪素土クロス」と「エコカラット」 が提案されたりします。
なぜならばいづれも「工業化建材」で価格設定と発注が楽だからです。
*エコカラットとは、INAXの内装用タイルです。
より本格的な「珪藻土塗り壁」や「羽目板」などは敬遠されます。
内装用タイルよりも塗り壁のほうが、自然に一体的に施工ができてきれいだし、施工単価もはるかに安いのです。それでも既製品にしたがるのがハウスメーカーの悲さです。
なぜ使いたがらないか?
それは「手仕事の仕上げ」には、打ち合わせ⇒素材選定・施工図の作成⇒価格の決定というプロセスが必要で、建築的知識が必要です。
もちろん住宅の営業マンにそのスキルはありません。
だから手仕事の工事に対する値決めの対応がなされないのです。
それ以前に、そもそも営業マンにも原価と売価の方程式をあえて隠している住宅会社が多いで、標準外の施工を嫌がります。 だから、彼らは会社の推奨するものしか売りたがりません。
このようにして、インテリア建材の既製品の寄せ集めでの家づくりは、我々からするとかっこ悪くてしょうがない。、建築の幅が異様に狭いものしか建てないのです。
これがおもしろくない家ばかりが量産される ひとつの理由です。