豊かな土間のある家
金衛町の家」は本格的に土間があります。
玄関から入ってまっすぐと、庭につながる縁(えん)とで大きくL型の土間です。
玄関から家を貫通して主庭まで行けますから、「通り土間」となります。
設けた理由は、「大型犬を室内で飼育したかった。」というご要望へ対応したというのが大義名分です。しかし、設計担当の山下氏が「土間のある家を設計したかった」というのがほんとうのところでしょう。
情緒的には、大きく南面した庭へと意識を誘う効果があり、外部に設けられた同材のタイルで仕上げたテラスと相まって、外と中の結びつきを強くしております。
「自然と外に出たくなる」装置ですね。
(写真: 飛騨高山の高島家住宅)
その感覚は、古くからの日本家屋に備わっているもので、その現代的な体現と言えるでしょう。設計者としてはいつかはやってみたいスタイルです。
温熱的な観点から説明すれば、冬場には日射で土間は熱せられ、畜熱効果により暖房負荷の削減が期待できます。
原点である昔の農家の家には土間があった。
馬を家の中にいれたり、草鞋を編んだりした。 家内労働の場には土間が適していた。
現代においては、ルームランナーや自転車のトレーニングなど、土間はハードな利用局面を受け止めることができます。そして水に強いという面で観葉植物やペット共生にも適しています。