閉め切っていて暑くなる家と涼しい家
その日は外気温26度程度、しかし日差しが強く車の温度計の外気温は30度を指していた。時間でいうとちょうど午後2時半ごろです。
閉め切られていた玄関ドアを開け、2人で中に入る。
洞窟のようなひんやり感がある。Aさん「ひゃぁ~、涼しいですね。 エアコン動いているんですか?」
相模「まさかぁ。何もやってないよ。」
Aさん「さきほど修理に伺ってきたところと全然違いますね。入るなりむわっとしていて暑いから、窓を全開にして空気入れ替えましたから。 同じ家でもこんなに違うものなんですか?」
相模「暑い寒いとなると、差が出るね。」
Aさん「サッシを閉め切っておくと、外より暑くなるんですかね。」
相模「それは設計が悪いんだよ。窓に直射日光が当たっていれば温室といっしょだからどんどん温度は上昇する。それに対してこの家は軒がしっかりでているだろう。そこがまずは違う。」
Aさん「そのお客さんは言ってましたよ。『新しい家だから断熱材も入る。だから夏は涼しく冬は暖かくなるといわれたし、そうなると思っていた。でもそうじゃなかった。』って。」
相模「気の毒だなぁ。その家は昔の家と違って断熱材は入っているからそれなりに冷めにくい。夜になって外が涼しくなっても家の中は暑かったりするわけだ。」
そこで、Aさんに設計施工はどこがやったか聞いてみると、ずるむけの(屋根を省いた総2階の設計を平気でする)ローコスト住宅だった。
暑くて快適でない家。⇒ エアコン依存 ⇒ 夏のピーク電力増加。
夏涼しいという性能も数値で表すことができる
夏涼しい家の性能は、「冷房期の平均日射熱取得率(ηAC値)イータエーシー」という数値で確認できます。 イータエーは、家の中に入り込んでくる熱を建物の外皮面積で割るという、かなりめんどくさい計算を行いますが、夏の熱の侵入は7割が窓からとも言われてますので、「軒をしっかり設計する」というところがポイントになります。
(図:IBECより転載)
エアコン依存しないとちゃんと住めない家をバカバカと建てさせていても、地球温暖化防止には何も効果が無いだろう。平成25年基準の改正省エネ基準が2020年に義務化になれば、日射遮蔽性能の一定水準のクリアをしなければならなくなる。 それまでこんなずるむけハウスの新設が野放しというのが歯がゆく感じます。