窯業系サイディングのメンテナンス
今回は、世の中の住宅の仕上げの70%以上を占めていると言われる、「窯業系サイディング」の維持管理について焦点を当ててのお話です。
サイディングのベース素材は粘土とコンクリートの性質に近く、水を吸いやすい材料です。水のしみこんだサイディングは冬になると凍結し粉のようになってしまいひどく傷みます。これを凍害といいます。
水をしみこませさせないために塗装が必要
そのために、表面の塗装の維持が欠かせないということです。別の言い方をすればサイディングの性能は塗装の耐久性に依存しております。
また、塗装だけでなく、継ぎ目の防水コーキング(樹脂)は硬化するのでこの部分の更新も同時にする必要があります。
「日本窯業外装協会」によれば、5年から10年での塗装の塗り替えが望ましく。
25年サイクルでの張り替えが一般的であると書かれております。
また、塗装だけでなく、継ぎ目の防水コーキング(樹脂)は硬化するのでこの部分の更新も同時にする必要があります。
「日本窯業外装協会」によれば、5年から10年での塗装の塗り替えが望ましく。
25年サイクルでの張り替えが一般的であると書かれております。
(2013年当時: 現在ではそうした表記は消されました)
10年おきにお金がかかる家になる
サイディングの塗装は素人では手に負えなく、コーキングの打ち直しが必要なので、専門業者に依頼しないと無理でしょう。
外壁塗装工事は塗装の種類と物件の規模によって異なりますが、100万円程度はかかるようです。 詳しくはオールアバウトへ
外壁塗装工事は塗装の種類と物件の規模によって異なりますが、100万円程度はかかるようです。 詳しくはオールアバウトへ
「外壁はどんなものがいいですか?」とヒアリングしますと、皆様のほとんど決まった答えが返ってきます。
「メンテナンスが掛からないのにしてください。」
住んでから、管理でお金がかかるのは避けたいということでしょう。
となると、塗装による維持管理が不可欠である窯業系サイディングは、私どもとしては標準採用としては厳しい選択です。
住宅ローンを払いながら、10年に一度100万円をかけて維持管理できますか?
本来はマンションの修繕積立のように、長期維持管理の計画を立てて、費用も用意しなければなりませんが、現実的には個人邸でしっかり用意しているのはまれのようです。
このように塗装が欠かせないというのが、窯業系サイディングの最大の弱点です。
写真はかなり極端な状態のものをネットで拾ってきましたが、
築年数が5~20年程度のものを観察してみると、
実際に劣化が顕著になる場合と 比較的穏やかなものと差が大きいです。
西日の当たる西面が紫外線と温度による伸び縮みで痛む傾向があります。また、色の濃いものは退色とチョーキング現象が目立ちやすい傾向があるようです。
サイディングのメリット
そんなサイディングですが 一方で強みもあります・
① 種類とデザインが豊富。
② 不燃材であるので耐火認定が容易。
③ すでに塗装された製品であるから管理が楽で、工期が短くなる。
作る側から見たメリットがあります。
① デザインについては個人的な趣向性ですので、サイディング的な表情が好きだということであればお選びなさったらいいと思います。
② 耐火認定がほとんどすべての断熱材に対応できていること。
ウッドファイバーのような、住む人の健康や環境にも優れた自然系断熱材を使いやすいということがメリットです。
サイディングを使いたくない理由
① 10年サイクルでお客さんに経済的負担を掛けたくない。というのがまずもっての理由ですが、住宅会社としたら10年後に安定して発生するリフォーム工事を当てにできないというデメリットがあります。(笑
② 個人的には、サイディングでのトラブルでかつて20件以上頭を下げて回った記憶があるので、トラウマで使いたくはありませんが、以前よりもだいぶ品質が向上したものだなと正直感じているところではあります。 (ちょっとフォローしておきます)
③ それと外観と街並みですね。 窯業系サイディング張っただけで 安っぽくて終わりです。張りたくて張ろうとしている人は少なく、何も知らないか、 経済的な事情で張っているのでしょう。
建築家の方々でも 同様にサイデイングを使わないとルールにしている方も非常に多いです。
(写真は i+i 飯塚設計室の作品です)