標準化と企画化は違います
住宅建築の「標準化」などというと、似ているニュアンスの「企画化」と一緒にとらえがちだが全然違います。
「企画化」とは、「住宅の商品化」であり、「標準仕様で坪いくら化」であって、「住宅のパッケージ化」で、突き詰めると「企画プラン」というところまでたどり着きます。
つまり、注文住宅に求められるスキルの乏しいスタッフの大量雇用でも、量的な拡大を進めることのできるための手段であります。
住宅を商品化し、標準仕様を決めて坪単価を設定する。これは設計の積算数量の根拠が無くても見積もりをだせるようにするためで、営業の迅速化が図れるが、
大手プレハブ住宅のリアルな実例を見てもらえれば一目瞭然だが、無個性で面白味の何にも感じられないよそよそしい住宅を招きだします。
究極の姿である「企画プラン」というのは文字通り間取りまでの企画化であって、設計行為をまるまる省くことができる。
このように「企画化」とは、設計の関与=手間と知恵をどれだけ省けるか?
ということに他なりません。
標準化とは?
標準化とはどういうことか?
これはひとえに「設計のルール化」と「仕様の標準化」と2つに分けられると思います。
「この材料・この仕上げ・この設備はいいね!」というのは「仕様の標準化」であって、
「こっちのほうがいいね! これは評判がいいね!」という感じで磨きをかけていきます。
目に見える「もの」の共通化は「仕様の標準化」であって、これは簡単にできる事柄です。
一方で、「設計のルール化」という「つくり」のノウハウの標準化は、
具体的な「成功事例の定番ストック化」とでも言えるかもしれないし、
その住宅屋らしさを作り出してゆく重要アイテムの法則とでもいいましょう。
例えばオーガニックスタジオ新潟でよく見る「吉村障子」
これも、お客さんからの「いいね!」により繰り返し採用がなされて定番化したものです。
その障子の桟の割り付けや、納める建具枠と戸車の処理などの「つくり」は標準化されて行きました。
また、屋根材・外装材の選定のルールや床下暖房の関連など、一見同じように見える住宅を何軒と作り続けていく。そのなかで、「こうするといいね!」という細かな設計改善を続けていったプロセスでノウハウが集積してくる。その集大成が標準化です。
それが明文化されず スタッフ個人の頭の中だけにあるのではなく、社内で明文化し、お客様にもそれがアイデンテティとして伝わるほどとなると「標準化」は力を発揮するようになります。
その住宅会社「らしさ」を生み、 独特の世界観を作り出すからです。