当たり前化する耐震等級3
地震の際に家屋被害が出るか出ないか。
地震に対する強さを耐震等級で表示することができます。
現在、大手ハウスメーカーを中心として耐震等級3を標準化する流れが加速しています。
さきの熊本地震においては、等級2の住宅が倒壊し、等級3の家には家屋被害がほぼなかったことも加速の要因です。
鉄骨型プレハブメーカーはもちろんのこと、タマホームのようなローコストビルダーでも対応が進んでいます。等級3を原則実現しようとしていて、80から90%までは対応できているようです。
耐震性は、住む人の命と財産を守るための基本的な性能ですので、当然最優先に対応してくべき事柄であることは間違いありません。
高くなるのでやらない工務店(ビルダー)
ですが、地域の工務店においては、大手の取り組みに比べて遅れている印象があります。一番の理由としたらコストでしょう。等級2以上であるとするならば、構造計算が必要となり、それだけで15万円程度費用が掛かります。それに加え、基礎や木軸構造の材料費が増えます。
だから、特にローコスト住宅の場合の耐震性についての説明は、「べた基礎にするので」「金物工法にするので」丈夫です。と、 「・・・・だから丈夫です」という表現にしています。
「ウレタンを吹き付けたので」「気密を取ったから」暖かい。 という表現と一緒で、耐震性ならば構造計算しないと本当の耐震性がわからないし、断熱性も熱損失を計算しないとわからない。
ともあれ、一時期は10棟に1棟しか構造計算できていないといわれてきましたが、現在ではもう少しは増えて、3割くらいはできているのではないかという印象ではあります。
オーガニックスタジオ新潟は「等級2以上」の意味するもの
私たちオーガニックスタジオの基準として、耐震等級2は担保しようしております。
熊本県地震を契機に耐震性に客観性を持たせるために、外部の構造設計事務所に構造計算してもらって検討しております。
阿部君にここ一年の物件がどうなっていたか確認したところ、約3分の1の物件が等級3を満たし、それ以外は等級2を満たしていました。
なんだ、タマホームよりも等級3の実施率が低いなと思う方がいらっしゃるかもしれませんが、
積雪地ならではの事情が絡んでいるので少し説明が必要です。
こちらは国交省の資料ですが、構造計算する際には多雪地の場合には、屋根の上に雪の重みが乗った状態で計算することになっております。
新潟はもちろん多雪地に含まれており、われわれはエリアだとアメダスデータに則って1メーターから1.4メーターの雪が屋根に乗った状態で、耐震強度を満たすように設計しなければならないことになっております。
その結果、実際の建物の構造は、雪が載っている計算で等級2になる場合は、雪のない季節は一般地域での等級3と同等の強度があります。
新潟市ではどれくらいの積雪があるのか?
国の決まりでは、雪のあまり降らない新潟市の中央区においてでも、屋根の上に雪が1メーターの積雪がある前提で計算することになってます。
新潟市中央区の気象統計
現実的には、そこまで冬に屋根が雪が積もることはありません。
平場の最大の積雪量が50cmとなることはめったにありません。
さらに屋根の上はもっと積雪量は少なくなる。
何故かというと、特に板金ガルバリウム屋根の場合は熱伝導率が高いために、積るそばから溶けてしまいますし、すべって落雪するからです。
新潟市秋葉区新津の気象統計
同じ新潟市でも雪の多い、秋葉区新津でも最大震度雪の量は1メーターを超えることはまずありません。さらに屋根への積雪がある時は1月と2月だけであって、その他の期間は等級3を満たしている。
新潟市では耐震等級2がスタンダード
実質的には新潟の耐震等級2というのは、実質的には等級3と同等と考えてもいいのではないか?
木造住宅の構造塾で知られているM’S構造設計の佐藤実さんにも、お考えをお聞きしたら、「多雪地においてはこれが現実的には理想の状態」とおっしゃられておりました。
多雪地においては最低でも等級2をクリアする。
それがどういう意味かご理解いただけたかと思います。
建築的に正しいことをやりさえすれば、そう難しいものではありません。
最後に 耐震性が高いのかどうかを確認する質問をまとめてご紹介します。皆様方の家つくりのお役に立てばと思います。