日本初! 上下階間の床下暖房

admin

 「中之島の家」が上下階間の(鎌田方式)床下暖房の日本初の事例となりました。
3間x5間の吹き抜けのない総二階。30坪の小型住宅ですが、
2.8Kwの小型エアコン1台で、完璧なまでに全館冷房がうまくいきました。

(計測時も、南はすだれで遮蔽していた)


他に事例が無いか西方設計にお聞きしたところ、3階建てで行ったことがあるというので、
2階建てでは ルームエアコンによる階間方式での全館冷暖房は日本初とされてます。

断熱仕様はが西方先生がおっしゃってるところの
最もコストバランスの良いスタンダードな断熱仕様です。

登り梁間断熱 SFブローイング240mm。 壁が HGW 16K 105mm。
床断熱になっており、90ミリのポリスチレンフォーム。大引き間充填。

窓はAPW330。 ドアはガデリウス木製断熱ドアです。
換気はコストの関係で3種換気にとどまっています。
推定Q値=1.5程度という ふつうの家です。 UA値もHEAT20 G1レベル。

外気温32℃で、エアコン1台で温度差1℃以内

完成直後で、建物の除湿と冷房試運転で、

3日程度連続冷房を行っていた後での温熱調査しました。
調査日時が2018/7/15 AM11:00
外気温が32℃ 湿度57%

(清掃性を優先させ、化粧カバーは外している。木で囲って物を置けるようにしたが、

無くてもよい。)


(2階床下エアコンのサーモ画像)

2階のクローゼット内部に床下エアコンを設け、2階の室内に向けて、ブースターファン2台を中運転。
他に自然対流のガラリが3か所開けてある。

1階はリビングの中央に造作照明が仕込まれ、両脇が自然対流のガラリが切られている。

冬はブースターファンを稼働させ、階間の暖気を下に送り出す。

(1階天井面が温度が低い。造作照明も障子紙一枚なので冷えている。)

リビングは24.8℃。 家のどこを測定しても温度差が1℃以内という結果でした。

全館暖房より、全館冷房のほうが上下温度差が生じやすく、
特に吹き抜けが無い設計だったので、普通であれば2~3℃の温度差が家に生じるのが避けにくい。

だが、奇跡的に家のすべてに 極めて温度ムラがない状況であった。

(2階の床表面温度は思ったほど下がらない。 2階リビングの家なら広葉樹でもいけそうだ。

1階の床が2階よりも温度が低い。しかし、針葉樹フロアで体感で冷たくは感じない。

壁温度の差は、計測した壁の方位の影響が大きい。)

1階は自然なドラフトだけにして、2階は3か所のガラリとブースターファンが2台動いている。

動力のないガラリからも冷気は穏やかに出ているが、ファンのあるなしで1桁気流が違う。

賢い設計者は、この送風量データでどれほどの冷却力があるか計算できることでしょう。

2階がやや1℃高いが、ブースターファン余力があるから、まだ冷やせます。
回転数は4段階ある。  ガラリの開閉でも送風量制御ができるので、
部屋ごとの温度制御はその気ならもっと縮めることが可能です。

 

普通の壁掛けエアコンと体感が違う

なにしろ体感が、今までの冷房とは全く異なります。
風が感じられないし、音もうるさくない。

エアコンの温度設定は25℃の送風は自動モード、送風量は中程度の安定運転でした。

音もデシベル計で計測しておけばよかったが、寝室は楽々安眠できる水準。

さらに上下階間で冷気が走っているために、1階の天井表面温度は約20℃近くなっている。
リビングは、天井からの低温輻射冷房で、洞窟のようなひんやり感を感じる。

非常にうまくいったというのが全体的な結論です。

課題は湿度をもっと下げること

ただし、建物は竣工まもなく1週間程度しか経ってないために水蒸気量も多く、
3種換気を使っているために、湿度は65%であった。

仮に1種換気を用いていれば、60%を切るまで下げられるし、
この建物でも、1年経過すればもっと湿度が下がるだろう。

夏は、26~27℃で湿度を60%切るラインが最適な室内といわれるが、湿度がもう少し下がれば
天井の低温輻射で、1階室温は28℃度ほどに室温を上げても、体感は十分になる可能性が高い。
ならばエコで、体にも良い。

最も安い全館空調システム

今回は安い小型エアコンを使って、ブースターファンも含んで、
全部で20万円程度でできる全館空調システムが完成した。

全館空調は三井ホームやミサワホームなどの大手住宅会社がかねてから力を入れていた。

追加オプションとして200万円以上かかり、採用率は2割ほどだと聞いたことがある。

ローコストな全館空調ではZ空調が絶好調と聞きますが、

ダクトエアコン2台用いる方式で、150万円程度で可能だという。

(アクアフォーム断熱施工とセットという縛りがあり、これも導入ネックである)

ただ、断熱性が悪いのを空調で何とかしようと、

現場管理が行き届かない、建売でも採用をしているために、

送風量が多く、音もひどいという情報も見受けられます。

まずは冷暖房負荷を減らすことを行わないと、居住性や経済性が問題が起きる。

階間エアコンのメリット

鎌田方式はエアコンが1台で賄えるために、初期費用だけでなく、設備維持費も最も安く、

冷房負荷が適正になるために電力消費減になり、また、表面温度が室温よりも、

夏は下げ、冬は上がる点で、より快適である。
壁掛けの最大の不快な点である、風と音が問題にならない

最後に、壁に設置しないから、インテリアを損なわない。(室内にでてこない)

構造の隙間の清掃性が気になる人もいるが

寄せられた疑問点としては、

「床下空間であれば清掃できるが、階間だと掃除できない」という意見があった。


考案者の鎌田先生に見解をもとめたところ、

「フィルターで濾過された空気が階間へ入っていることと、

正圧で、一方向でしか吹き出てないから、汚れはたまらない。」

日本人はどうでもいいことを気にしすぎる。

と、一刀両断だった。

床下エアコンでも同様に、清掃性を疑問視する方がいますが、

階間へ 室内の空気が直で入れば埃がたまりますが、

エアコンフィルターでろ過された空気しか入らない。

ホコリは直下に落ちて終わりです

このことに関しては、床下エアコンと同じであります。

ガラリから埃はネット越しに落下しますが、年に数回の大掃除の際に、

ガラリを外して直下周辺を掃除機で吸う程度の管理で充分です

私も、多少家の中に埃があろうとも、室内の空気質に全く影響ないのなら

気にする必要はないと考えます。

同様に、「換気ダクトが汚れる」との都市伝説が流布され

1種換気の導入の妨げになっておりますが、 詳しい方々の情報をまとめました。

それは前回に記事にしてますので合わせてお読みください。

階間が汚れないよというのも同じ理屈です。

冷房はカビの発生に注意する

もう一つ、エアコンの噴き出し口の直下の冷えた空気が、
構造の梁に直接当たっている場合は、結露でカビが生えないかとの指摘があった。

そこで 冷房シーズン終了後、点検口からカメラ等で確認してみたところ、カビの生えた痕跡はない。

(ACの脇の梁に、結露シミの跡もない。もちろんカビも無い)

(大断面の梁に囲まれている空間に冷暖房が走る。 野縁と梁の隙間へも気流は走る。

直進方向の継梁や合板も問題が無い。)

連続的に送風がされている場合は、過湿にはなってもすぐ気化されて、
物理的に洗われている状態になるので、カビが繁殖しないことがわかっている。
間欠冷房だとよくない。運転を止めると風も止まり、かびる可能性がある。

それは通常のルームエアコンでも同様で、タラップ付近に黒カビが生えることがある。

そのことを連想しての心配であるようだが、 心配ご無用であった。

くれぐれも、冷房は連続運転でお願いしますとお客様に念押ししてました。

さらに、一種換気を用いると、相対湿度が10%ほどさらに低くなり安全が高まる。

使い方と、メンテナンス方法は肝なので、ユーザーはしっかりした知識は必要だ。

より安全寄りにするポイント

鎌田先生に念押しされたのは、階間冷暖房をする場合は、
胴差周りは熱が逃げるので、内側から断熱材を張り付けることもお忘れなく。

より冷房の結露の心配な、西日本での採用の際には、エアコンから近い部分をスタイロホーム等で保護して、緩和する処置を施したほうが、より安全だと思われます。

前准教授も肯定的

10月19日に、東大の前准教授に、新潟にいらした際にもこの方式についてのご意見を伺ったところ、

「いいでしょ!」 と即答がありました。

今年の夏から全館冷房への関心が業界全体に高まっていて、

有効な手段だと感じていただいたようだ。

「あとは 冬の暖房がどのなるかですね。」 と 関心を寄せていた。

先生は超高性能カメラをお持ちで、 オガスタは様々な冷暖房形式の住宅があるので、

これからの冬に、調査をご希望とあらば、何なりとご協力いたしますとしました。

追記:その後、前准教授は冬にサーモカメラ片手に、有言実行でこの住宅の視察にいらした。

ダクトエアコンを使った階間エアコンもある

西方設計では、現在、札幌の棟晶さんの施工中の物件で、
ダクトエアコンと1種換気を直結した、階間全館空調で進めているとの最新情報を得た。

この方式も有力で、より確実に狙った場所に冷暖房できるが、

断熱ダクトは外径が22cm程度になるので、階段1段分、余計に階高が必要となるのがネックだ。

具体的には階段の設計が この1段により 1坪では収まらなくなるという縛りができる。

床下・階間、構造空間を利用した全館空調が続々と

私どもでも、一対一のルームエアコンによる鎌田方式の案件が数件工事進行中です。
これからの案件は、1種換気を組み合わせた方式で、効果的であることを確信できている。
構造や仕上げも、鎌田方式に最適化したものを組み合わせることでより洗練されてくる。

今後、総2階ベースに近い設計の場合で、コストダウンしたいときは、
「鎌田方式の階間冷暖房」で、提案することが多くなりそうです。

さらに 床下エアコンとの2台使いによって、より確実に、冬も夏も全館冷暖房可能な設備計画の建物も可能である。

工務店関係者の方は このブログの読者が多いわけですが、

技術的な質問、見学の希望はご遠慮ください。

知りたければ、「本音のエコハウス」を買って学んでください。

ここに 階間を利用した方法はしっかり書かれてますから。

 

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