杉板は凍害に強い素材
杉板外壁は、窯業系のサイディングよりも維持に神経を使いません。
サイディングは水を吸うと伸び縮みし、凍害にあうと前回ご紹介しました。
杉板も水を吸いますが、凍り付いても割れないので凍害にあいません。
これが大きな差です。
さらに、少しぐらい濡れても放湿性が強いので乾いてしまう。
ということは 塗装による防水をしなくても材料はダメになりません。
杉の板は舟にも使っている材料で、水に濡れたくらいではだめになりません。
(佐渡の名物たらい舟)
古くから新潟の民家には杉板を外壁に用いていたのは、冬の季節風で横殴りの風雪によりさらされるからです。 冬に乾燥している太平洋側は、外壁を塗り壁にしても問題が起きにくく、選択の自由度が高いですが、新潟は風雪に強い仕上げが望まれます。
杉板を腐らせないために一番なのは、軒を出すこと
木の板は防水のための塗装が不要ですが、有機物素材だからカビによって腐らないようにする必要があります。腐らせないために、一番簡単なことは濡れさせないこと。
そのために神社のように、軒をまわすことです。
皆様の家の近所の神社の外壁は、きっと杉板で仕上がっていて、何十年もほったらかしではないでしょうか? 軒下で守られている木の外壁は、もっとも維持管理が省ける外壁仕上げです。
塗装無しの場合は、ウッドロングエコで
ウエスタンレッドシダーやヒノキのような、カビが生えにくい木材を使えば無塗装でも外壁に可能と思います。しかし、杉の2倍以上の材料費がかかりますので、杉を保護処理したほうが安く上がります。
一方で、私どもオーガニックスタジオ新潟で、一番多く用いられている杉板外壁の防腐処理は、ウッドロングエコを塗る方法です。
原理としては、木材に含まれているタンニン(渋)に、鉄イオンを反応させると黒く発色する。この色味が、木の経年変化後の古色に似ている。
鉄と反応したタンニンが乾くと耐水・撥水効果がある。さらには金属イオンというのは防カビの効果がある。
色々調べた結果の推測ですが、この原理を企業秘密の配合で商品化させたのが「ウッドロングエコ」という保護剤で、建築界で広く用いられております。
(エコ住宅の神様、西方設計の事例 7年経過した小学校の外壁})
顔料を表面に塗った塗装ではないというところがみそです。
風雨で叩かれてタンニンが抜けていくこともあろうが、並行して古色になってくから美観上の違和感はない。最終的には神社の外壁のような風合いになっていく。
以上は10年サイクルの塗装スパイラルとは無縁な存在で、ほったらかしでよい。
杉板自体は遅々とした劣化です。
基本的には30~40年は十分に機能を果たすでしょう。