今年の9月はとても暑かった
9月3日には新潟県において
気温が40度以上になる観測史上はじめての出来事が起こりました。
そこから猛暑が続きましたが、
その時、高性能住宅の室内はどんな温熱環境であったのでしょうか?
グランドピアノのある家の温度と湿度はどうだったか?
日本エコハウス大賞グランプリの「グランドピアノのある家」に
温度湿度ロガーをセットして確認してありました。
約5日間にわたり温度と湿度の変化を観測。
まずは温度の変化1番変化の大きいグラフはもちろん外気の温度です。
北側の玄関の前に置いてましたが、西日がぐるっと回り込むと
角のようにぴょこっと温度が50度付近まで上がってます。
特に9月6日7日8日の三日間は猛暑でした。
しかし、室内の温度はいずれも極めて安定していることが確認できます。
2階ホールの2.8kwのエアコンを、
25℃設定の送風も自動モードだったとのこと。
9月8日の温度変化だけクローズアップして見てみます。
夜はほとんどすべての観測地点で25度程度で安定していて、
日が昇る、朝の7時位からダイニングとリビングの温度が、緩やかに上がり11時ぐらいから緩やかにまた下がっていきます。
高性能になると上下温度差が小さくなる
1階と2階に3カ所ずつ温度計を設置しましたか、
上下の温度の平均は、
1階が平均で25.4度
2階が25.8度となりました。
上下の温度差が0.4度しかありません。
一般住宅は 上下温度が2~3℃は楽々生じます。
この程度だと家中で温度差を感じることがありません。
除湿器なしでカラッとする家
湿度に関しても、50%から60%の間で推移しています。
1階リビングの平均湿度は53.5%でした。
2階の湿度は残念ながら途中でデータが飛びましたが、
約2日分で平均で50.3%でした。極めて湿度も安定している。
データが残っていた6日分の湿度で見ますと、安定しているのが分かります。
絶対湿度も、混合比で12グラムを切っているので、
文句なしにカラッとしていて快適な状態です。
エアコン稼働が少なすぎる
2階のエアコンの吸い込み口と噴出口、上下にロガーを付けてあって
その温度差でエアコンの稼働状況を確認しようとしたのですが、
ほとんど計測できませんでした。
ひょっとしてテープが剥がれて落ちてしまったのか
確認しましたが、そういった事はなかったそうです。
ほとんどエアコンが稼働されてなかったとしか言いようがありません。
そこで、電気使用量も確認してみました。
6月7月8月の電気料金をお客様から了解の上、公開いたします。
給湯・家電利用、すべて含めてのオール電化です。
6月分が11972円
7月分が11632円
8月分が15676円
今年の新潟は6月は冷夏で、平常月とあまり変わらない。
8月は猛暑。6月と8月の平均気温は
5.4度違う。その分の冷房負荷が加わってくる。
しかし、電気代の差は3700円でしかありませんでした。
お客様も、アパート時代より電気代は安いと喜んでらっしゃいます。
ワットモニターのロガーを
ACに付けておけば実態が分かったのでしょうが、
できてなかったのは残念です。
ピアノに理想的な温湿度管理
しかしながら、猛暑の時、家の室温が25度台というのは寒いくらい?
実は 冬も24度台で暮らされていた。1年じゅう同じ温度です。
勘のいい人はお分かりのように、この家にはグランドピアノがある。
ピアノに理想的な温度は25度で、湿度も安定していると音が狂いにくい。
調律でお金をかけるよりも、むしろ空調で整えたほうが安上がりです。
こちらの室内は特殊事例ですが、
人間の放射熱の状況からすると、実は、春秋の平均的な服装をしていた場合、
25度程度が、最も暑くもなく寒くもない状態で、快適だそうです。
冬は少し着込み、夏は薄着になるため、
それで体感温度が1度変化するとなれば、冬は24度、夏は26度が、
最も快適な温度だとされています。
(天井壁床の表面温度が室温と同じとして)
しかしながら、人間は季節での適応をするし、省エネのためにそこまでにするケースはまれです。
冷暖房負荷の計算においては、
日本は冬は20度。夏は27度で計算するルールになっています。
一年中、室温を24度から25度で暮らすならば、冷暖房負荷は倍増します。
しかし、パッシブな設計で日射がうまくコントロールされ、
Ua値 0.28の高断熱の住宅は、光熱費を気にすることがない。
特に西方向が大屋根になっているので、窓がほとんどないことが効いてます。
夏の超快適。ということがわかっていましたが証明できました。