ロシアへの経済制裁が強烈に
ロシアのウクライナに対する軍事侵攻は、世界を大きく揺るがせております。
(写真:CNN)
西側諸国による経済制裁・金融制裁で、
ロシアはデフォルト(債務不履行)に陥る可能性が高いとすら言われています。
国としての信用がなくなり、通貨ルーブルの大幅な下落し、
国債の価値が暴落しています。
ロシアが戦闘行為に勝ったとしても、経済戦争では圧倒的に敗者になる。
デフォルトに陥ると、ロシアはハイパーインフレになり、経済が再び平穏さを戻すには20年ぐらい、時間もかかると言われています。
国としての自殺行為としか言いようがない。
その辺の情報は、皆さん報道でご存知の情報でしょう。
送金停止で貿易できない
米欧日がロシアの銀行を「国際銀行間通信協会(SWIFT)」から排除する制裁を科すと表明しました。そうなるとロシアへの送金ができません。
送金が途絶えると、ロシアは輸出ができません。
すでに海産物向けは影響がありそうで、回転ずしのイクラ・ウニ・カニなどは、
姿を消す、または高騰する可能性もあるでしょう。
日本の家づくりに与えるマイナスな影響
さてこのロシアの情勢が、日本の家づくりにどんな影響を与えるでしょうか?
ご存知のように、2021年は、ウッドショックで大変なことになりました。
そこから完全な品薄状態からは脱却しましたが、
木材価格は高止まりして現在に至ります。
それからスチールショック。半導体ショック。
様々な建築部材がなくなり、値段も高騰してるのはご存知の通りです。
今回の「ウクライナショック」は、
木材の製品の供給に大きなマイナス要素になりそうです。
ロシアはカナダに次いで、木材製品の最大級の輸入先です。
(資料:森林林業学習館より)
特に影響を受けそうなのが、構造用合板です。
ただですら最も品薄な部材で、ホームセンターでも販売制限のある状態。
値段も平常時の2倍ほどに跳ね上がっています。
実のところ、こうした合板の不足と高騰は、ロシアの丸太原木への輸出関税率の引き上げの影響が大きな要因のようです。2020年に60%、21年に80%に引き上げられたが、22年になり丸太の輸出が原則禁止になった。さらに製材にも輸出税を課すようになった。
さらに、今回の送金停止でその製品輸入が途絶えそうだ。というのが紛争の影響です。
日本一の合板メーカーも、フェイスバック(最外層)は
ロシアのカラ松を主材料としていたので、代替材の確保に走り回ってます。
ゆえに、当面の間は今一層に品薄になり、さらに合板価格が上昇していくと断言できます。
構造用合板の危機は、ツーバイフォーはもちろんのこと
在来木造でも、床や天井の下地材の耐震性能の重要な部分の部材です。
もはや構造用合板抜きで、高性能な家を建てることは不可能です。
これが全般的な問題ですが、これだけにとどまりません。
(写真:ダイアモンド社より)
特にロシアとの結びつきの多い会社として、
日本最大の住宅会社。飯田産業グループが挙げられます。
600億円で、巨大なロシアの木材企業を買収したばかりです。
どうやら送金停止の直前に買収資金の送金が、ぎりぎり間に合ったようですが、
ルーブルの下落で、企業価値がどれほど毀損したのかはともかく、
資金の移動ができないなら、製品の輸出もできなくなる。
となると、全国で4万棟を超える建売住宅の供給の一部が滞り、
価格の面でも影響があるでしょう。
新潟においても、夢ハウスグループも、
ロシアから直接、新潟東港に原木を仕入れて、構造材や内装材に
製品加工をしていました。300社ともいわれるFC加盟店への木材製品販売もやっていた。
その原料がなくなる事態になります。
ロシア木材に代わる、調達先はなかなか見つからないようで、
かなり頭が痛いことでしょう。
このように、ウクライナショックに起因する木材不安は、
昨年の北米由来のウッドショックと同じ程度のインパクトか、
それ以上のインパクトになる可能性すらあるといえます。
現実的な、工務店視点での対策としては、
余裕を持った工程で、早め早めの発注に 努めていくしか手段がありません。
なかなか一難去って また一難。
いつまでたっても心が穏やかになりませんね。