相模家実家のビフォア。寒いので何とかしたい
私、相模の実家のリノベーション工事になります。
私の父親はもともと左官職人で、建設業を経営していた。
実家は築35年くらい経っているが、左官職人として関心の高い領域にはかなり凝った作りをしていた。
耐久性にはこだわり、水周りが腐らないようにするために、脱衣所と浴槽がお風呂場がRC構造になっていたのには驚いた。御影石を貼るために下地を強くしたかったのだろう。だが、無断熱である。
部分的には混構造で、スケルトンにするのをここは諦めた。外壁には木の板が貼られていた。
西日の当たる部分は反っている個所もあったが板の外壁は全体的には生きていた。
隣との境にRCの塀が見えるが、出窓の地袋収納の扉を開けたら、このRCの塀が見えた。つまり建具1枚で隔てられていた。 実家を引継ぎ住んでいた私の兄はその意味を知らず、「濡れる濡れる」と言っていたが、単純に30年以上結露を繰り返していたということであります。
しかしながら左官職人の親父のプライドで、座敷は自らの技を発揮し、土佐の磨き漆喰で仕上がっていて、お城のような鏡面のように艶やかであった。それが自慢の家だった。
職人ならではの、いろいろ偏った家です。
壁の中はべと壁を裏表に二重に塗ることで断熱したことになっていて、窓は二重サッシではあるが「寒くてどうしようもない」
古くて直すというより、寒いので何とかしたいのがリノベの動機である。
寒くて全く使われていない、老人室も・・・
断熱改修の方向性
RCとべと壁の蓄熱容量を生かすために、外周からフェノールフォーム50ミリですっぽり包む、壁部部分は外張り断熱。
床は根太を転ばし床断熱へ。床は間仕切り間の気流が無くなったので冷え込みは無くなるだろう。床下暖房はあきらめたので熱伝導の低いパインとした。
天井は1部構造を現しにして、船底天井でセルロースファイバーを吹込み断熱改修を行った。
窓は樹脂窓のトリプル。換気はドイツ製のダクトレス1種換気。
性能向上型部分リノベーションで快適な老後の住処へ
建物全体が大きかったので、今後老夫婦が2人で快適に住めるように、1階部分の住居空間を限定してブロック断熱改修工事。
耐震性がx軸方面で壁量が不足していたために、門形フレームを設けるなど、やれる範囲で丈夫にした。
明り取りの坪庭もある。
今までは8帖間、10帖間と、それぞれ細かく区切ることで、何とか暖房が効くようにして暮らしていたが、すべて広がりのある空間に生まれ変わった。
使われていなかった老人室は快適な庭に面した寝室へと変わった。
外壁で使われていた木の板は、贅沢に米松を使っていて、かんなをかけると蘇った。
そこで天井の羽目板仕上げで使うことにした。
べと壁は再利用され、部分的に仕上げで塗ることになった。
廊下などのなくなったおかげでキッチンスペースが飛躍的に広がった。
銘木屋で、栃の1枚板を選び、造作のダイニングテーブルとして暮らしの中心とする。
断熱区画と従来の区画は開き戸で隔てられている。
取っ手は引く時は縦が、押すときは横にしたほうが使いやすいとの配慮で、90度逆についているなど、細かな工夫があちこちに散見される。
基本設計は相模が担当。
現場監督は、代々木体育館などの設計で知られる、あの世界的な知名度の設計事務所から、Uターンに伴いオガスタに転職してきた塩谷監督の仕事。
おめでとう。ありがとう。