「小国和紙」を知っていますか?
古くから農家の冬の仕事として、旧小国村山野田集落などで生産されてきた「小国和紙」。
和紙を日常的に使うことはあまりないかもしれませんが、
ハガキやアクセサリーなどを雑貨屋さんで見かけたことはあるでしょうか。
また、オガスタでは障子紙や壁紙として使用した事例も多数あります。
モデルハウスの障子紙も小国和紙を使用しているのです。
そんなご縁もあって、長岡市小国町にある「小国和紙生産組合」の工房にお邪魔して、
生産工程を見学させていただきました。
小国和紙ができるまで
まだ雪の残る3月。(だいぶ時差があり、すみません…)
小国和紙の特徴でもある「雪晒し」という工程を
行う時期に合わせて伺わせていただきました。
(動画も撮影させてもらいました)
工房の入口には小国和紙でつくられた雑貨や紙のサンプルが並んでいます。
生産工程を順番に見学させていただきました。
まずは原料のお話から。
楮(コウゾ)というクワ科の植物が原料です。
収穫した原木を大きな窯で蒸し、皮を剥いて使用します。
黒い皮を剥くと、コウゾは生成色です。
ここからさらに白くするための作業が「雪晒し」です。
冬の晴れた日に雪の上に並べて、天日にあてることで
紫外線がコウゾの色素を破壊し、白く変化するそうです。
雪国の土地柄を活かした古くから伝わる製法です。
今年は雪が少なく、雪晒しができる場所が限られたそうですが、
運よく工房の横で見学することができました。
刈谷くんも雪晒しを体験。
日光がよく当たるように、しっかり広げて並べます。
晒し終えたコウゾを一晩水戻ししてから、4時間程煮て柔らかくします。
その後、コウゾに残った表皮やチリなどを手作業で取り除きます。
この作業を丁寧にすることで紙のランクも変わっていくそうです。
これはかなり根気のいる作業…!
次に、叩いて繊維状に細かくしていきます。
昔は木の棒で叩いていたそうですが、今は機械を使います。
ほぐすと、かなり繊維が長いことがわかります。
長ければ長いほど繊維同士の絡みつきも強くなり、
破れにくい丈夫な紙になるそうです。
その丈夫さは、なんと縫えるほど!すごい!
繊維状にしてから、ようやく紙漉きになります。
和紙づくりというと、この紙漉きがイメージされがちですが、
この工程に至るまでが大変な作業だということを目で見て実感しました。
紙漉きは工房で体験もできるようになっており、みんなで体験!
社長は大きな漉舟(すきぶね)で挑戦。
繊維状になった紙素とトロロアオイという粘材を混ぜて
紙を漉いていくのですが、漉舟もなかなか重く
平行に動かすのが難しいのです…!
林さんと刈谷くんは小さい漉舟で挑戦。
飾り紙を入れて可愛らしくアレンジもできます。
こうして漉いて重ねた紙を1日置いて水分を絞り、
1枚ずつはがして、温めた鉄板に貼り付けて乾燥させます。
そして、ようやく和紙の完成です!
和紙を建築に取り入れる
生産工程を一つずつ見てもわかる通り、
丁寧に手をかけて作られた小国和紙は
質感が美しく、光の透し方なども違います。
モデルハウスでも使わせていただいている
小国和紙の障子紙は室内に柔らかく光を通してくれます。
障子紙は時間が経つと黄ばんでくる印象があるかと思いますが、
和紙は雪晒しと同じ原理で光を通せば通すほど、白くなり澄んでいます。
長繊維で丈夫なので、破けにくく
築7年目になりますが、一度も張り替えていません。
他にもオガスタでは、小国和紙を取り入れた事例があります。
↑柿渋染めの和紙を貼った建具
赤みがかった茶色で、空間を引き締めてくれます。
↑紅花入りの和紙を貼った建具
紅花がさげなく彩り、可愛らしく柔らかい印象です。
↑草木染めの和紙をクロスとして貼った事例
淡いグリーンで畳の空間を優しく包み込みます。
他にも縫えるほどの丈夫さを活かして、
椅子の座面に和紙を貼ったり、ポーチにしたりと、
様々な活用方法をご提案しているそうです。
小物から建築まで、様々な可能性を秘める小国和紙。
上質な空間づくりにぜひ取り入れてみてはいかがでしょうか?
小国和紙生産組合の工房では紙漉き体験や
ミニ照明「こあんどん」づくりなどの
ワークショップも行っているそうですので、
ぜひ遊びに行ってみてください!
小国和紙生産組合の今井さん、ご案内ありがとうございました!