先日、お引渡ししました。
ハウスメーカーの枠組壁工法(ツーバイフォー)により建てられた築24年の家をリノベーションさせていただきました。
ツーバイフォー工法特有の構造ルールの枠組みのなかで、間取り、性能、機能、仕上げを一新。これにより、家一軒の個別的な改修ということだけではなく、室内と同化する「庭」(または「庭」と同化する室内)を設えることで、道にたいして開き、町並みとの新しい関係性をつくりだすことを試みました。
人と庭と都市の関係は密接です。家の基礎から道(もしくは隣地境界)までのスペースが「庭」となりますが、そういう敷地の残余空間を住まい手だけのために彩るという在り方ではなく、ちょっと町と共有してみようかなという在り方です。個人の住宅を超えて、近隣や町に貢献するという意思、そこで暮らすという自覚が感じられてきたりします。
室内は大半を左官で仕上げています。お施主さん自ら養生、材料練りをして、生まれて初めてコテを手に持って塗り切りました。ものづくりに関してはクオリティを上げすぎなくてもいいのかもしれません。綺麗にすればするほど、「これはプロの仕事だから自分に関係ない」という目で見てしまう。これだったらウチでもつくれそうとか、つくり方の仕組みが見えるとか、そういう当事者意識をともなった目で視られるといいのかもしれません。
リノベーションをとおして性能向上はもちろんのこと、町との新しい関係性や当事者意識を伴った、新しい家づくりができたかなと思います。今回は建替えではなく、既にある実家を直すというリノベーションを選択したお施主さんに大きな敬意を表したいです。おめでとうございます。
Before(改修前)
After(改修後)After(改修後)