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新潟県産の木材を再考する

設計部日誌
山田 剛山田 剛

新潟県は実は林業が強い

新潟県の林業。新潟県民でも正直あまりイメージできません。

山がいっぱいあるからなんとなく木たくさん採れそう~、くらいの感覚です。

でも木材で言うと木曾ヒノキや秋田杉なんかの方がメジャーで、

新潟の木材って聞いたことないなぁ・・・

ところが、新潟県は林業での全国総生産額ランキングではかなり上位にいます。

※参考資料はこちら↓

252369.pdf (新潟県農林水産部の資料より)

グラフで見る新潟県の林業の県内総生産額は高い?低い?(推移グラフと比較) | GraphToChart(GTC)

ただこちら資料にあるとおり、建築用材としての木材はかなり生産額が小さく、

きのこ栽培用の木材が生産額のほとんどを占めています。

せっかく木がたくさん採れる地域に住んでいるのに、その環境をうまく活かせないものか・・・

普通に強い地元の木材

地域で採れる木材の状況を知りたいと思い、魚沼の材木屋さんを訪ねました。

100年ほど歴史のある材木屋さんです。

林業は大変な重作業です。まずは山から切り出した木を丸太にして、

製材工場に運搬し、そこで加工機械を使って必要な大きさに切り出していきます。

とんでもないサイズの鋸刃です。

切り出した木材のうち、構造用や内装用はよく乾燥させます。

乾燥させた木材をさらに削ってきれいに仕上げます。この状態まできてようやく使用する準備が整いました。

こちらは魚沼杉の梁材。優しい色味で節も小さめ、よく使用されるべいまつより見た目が良いと思います。

 

新潟県産材は外国産材に比べて高い、という話を聞きます。

今回製材屋さんとお話ししたところ、かつてそういう時代もあったかもしれませんが、今は外国産材とあまり差はありませんでした。

ただ中間業者がたくさんからんだりすると高価になるかもしれません。

新潟県産材の強みとして感じたのは、

・地域で十分な量が採れるためグローバルな市場動向に左右されない(ウッドショックのような影響を受けづらい)

・輸送のコスト、輸送によって発生する二酸化炭素の削減につながる(山と加工場と現場が近い)

・製材屋さんから直接買い付けることで木材の品質を確保できる(材を気軽に見に行ける距離感)

・価格的には今回外国産材と同等だったが、円安や日本の現在位置を考慮するとむしろ競争力も高まるのではないか(立地や規模による林業の差が大きいので何とも言えませんが・・・)

・地域材活用の推進により林地の保全につながる

・地域の資源活用により地域産業にコミットできる

ということで、ざっくりいうと外国産材と金額変わらずきれいな材で、エコで国土保全にもなる、

と感じました。

実は新潟県産材、普通に強いです。

魚沼産材の魅力

魚沼産杉材の特徴として、黒というか青っぽいというか、

そんな色味の部位が多く入っているものがあります。

製材業界の慣習からいくと、この色味は嫌われていてはねることが多いそうです。

でもちょっと見方を変えると、イペのような深く濃い色合いをうまく利用できればかっこよさそう。

杉の黒身の端材をいただき、実験実験。

黒味部分を切り出し、収縮具合やオイルフィニッシュした表情の変化を見ます。

材木屋さんいわく、黒身部分はとにかく乾燥しないそうです・・・(だから材として使いづらい)

オイルを塗ると、経年変化したケヤキのような深い色合いがでました。

表情が強いのでコントロールが難しそうですが、面白い素材だと思います。

 

技術の進歩によってグローバルなものの見方が当たり前となっていますが、

身近をよく見れば素晴らしい資源を再発見できる!と感じました。

 

 

山田 剛
設計部

山田 剛

設計部 一級建築士

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