狭小地に建つコンパクトな二階リビング「加茂の家」
狭小地に建つコンパクトな二階リビング「加茂の家」
設計:ma ヤマシタ マコト
監督:波潟 靖
- コンセプト
- 入り組んだ住宅密集地の、東西に長い敷地での計画である。南にも北にも隣家が迫っており、また東には学校の校舎がある。唯一、西側のみがひらけているこの暗くなりがちな敷地に、ここに住む楽しく陽気な家族にふさわしい明るい家をどのようにつくるかがテーマとなった。
- 外観
- 延べ床面積30坪未満の小さな住宅である。南側に敷地いっぱいに建つ、総二階の家があるため、一階はどうしても暗くなってしまう。
そこで、主室(居間・食堂・台所)を二階に上げ、南から北への片流れ屋根とし、南面の高窓からの充分な光を得て、明るい空間で家族が過ごせる家を目指した。また北側隣家にできるだけ日光を届けるよう、可能な限り建物の高さを抑えた。
明るい色の外観にしたいという要望から、オガスタとしては珍しいアイボリーのガルバリウム鋼板の外壁としている。チークの玄関ドアと二階の窓の縦格子がアクセントになっている。
- 内観
- 主な生活空間となる二階は、壁や建具を最小限として、居間、食堂、台所、廊下や階段室をも取り込んで、広がりのある一体空間とした。
この一体空間は、片流れの屋根にあわせた勾配天井で覆われており、より広がりを感じることができる。天井の高い南側の最上部には横長のハイサイドライトを設けている。シナ合板仕上の天井に柔らかく乱反射する自然光が、家の奥まで届く。
唯一視界が抜ける方角が西のため、ふだんは閉じることの多い西面に大きな開口を開けている。窓の内側には障子戸、外側には格子戸を設けて、夏の西陽を和らげるよう工夫している。
一階には個室群を置いた。
寝室となる畳の部屋は窓の高さを抑えて、より重心が低く落ち着きのある部屋となっている。
- 空調計画
- 暖房・冷房とも、一階と二階の階間に設置された一台のエアコンで行う。
冷気は重いため、二階の空気を冷やしにくい。そこで階間にアローファンを用意して二階の中心部の高い位置から吹出すことができるようにしている。
- 規模・構造
- 敷地面積 146.17㎡
延床面積 98.32㎡
木造在来工法 2階建て