書物の森のアルコーブ「山二ツの家」
書物の森のアルコーブ「山二ツの家」
設計:阿部 誠治 監督:小林 秀昭
- コンセプト
- 建主様のご実家脇の小さな変形地に、家族四人が暮らすための住まいを設計しました。石垣を備えた趣のある旧家が立ち並ぶ街並みに、すっとなじむような佇まいを目指しました。
来客用の和室や、イラストレーターである建主の居場所、夫婦の共通の趣味である読書を楽しむための居場所を随所に散りばめています。
- 外観
- 安田瓦の屋根に杉板と火山灰の左官仕上げ。
二階の大窓は日射遮蔽用の外付けブラインドを設けており、冬季の日射取得と夏季の日射遮蔽が両立できるように工夫しました。
部分的に凹ませた二階部分は脱衣所からつながるバルコニーになっています。
交通量の多い道路側は板塀を設けてプライバシーを確保。実家とのアクセスの良い位置に駐車場と勝手口を備えています。
外部にも「縦」の格子や建具が随所に盛り込まれています。
- 内観
- 玄関のアイストップとなる壁は大谷石仕上げ。天井は桧の小幅板。縦長のスリット窓を設けることで仄明るい室内とし、石材や無垢板の素材感をより感じられるように工夫した。
キッチン脇にはイラストレーターである奥様の書斎を設けた。書類やプリンタを収める棚や外の気配を感じられる開口部を設け実用性と居心地を両立させた。またリビングからは死角となる位置のため、机上に混み入った資料を投げておいても気にならない。
お風呂から脱衣所、洗濯室、バルコニーまで一直線につながる実用的な構成。洗面台は釉薬の自然な色味が愛らしいタイルを張りまわしている。
階段の上り口にも小さな本棚がある。
外観同様、内部にも随所に縦格子を用いてほしいというご要望。
障子も「縦」を意識したデザイン。階段手摺も鉄と木を用いて「縦」でデザインした。
階段下のスペースを活用し、床下エアコンとテレビ台を設けた。
寝室は黄金色の壁紙。実家の百日紅が借景出来るように開口部を設けた。
吹き抜けに面してソファを造りつけたアルコーブ。周囲に張り巡らされた本棚に書物を目いっぱいに詰め込み、ゴロゴロしながら読書ができる。
4畳半の和室は土色の左官壁に杉板の天井板で仕上げた。麻の葉文様の吊押入。シルバーの文様に馴染むよう薄鉛色に発色した錆丸太を床柱に用いている。
- 規模・構造
- 敷地面積:51.90坪
延床面積:32.97坪
木造在来工法 2階建て
- 性能
- 耐震等級2 以上
Q値:0.91 [W/㎡K]
Ua値:0.29 [W/㎡K]
暖房負荷:15.7 [kWh/㎡]
冷房負荷:16.4 [kWh/㎡]
空調計画:床下エアコン+吹抜けエアコン
長期優良住宅