静かな佇まいをめざして「京王の家」
静かな佇まいをめざして「京王の家」
設計:ma ヤマシタマコト 監督:石川 敬
- 設計コンセプト
- 敷地は新潟市中央区京王の成熟した住宅街に位置する。
当該敷地は、長年にわたり地域の子供たちに所謂「読み書きそろばん」を教えてきた学習塾の跡地で、実際そこに通っていた、という知り合いが何人かいることもわかった。
周囲には長く時を経た住宅がある一方で、近年 建替えられる家々も目に付きはじめている。
新たにここに建つ住宅として、活動的な庭を持ちながらも、緑の多い、静かな佇まいの家のあり方を考えた。
- 外観
- 総二階の大きな箱に玄関部分の小さな箱を添えたシンプルな構成に、折り重なるように2.5寸勾配の屋根を架けている。
西陽のあたる道路側は開口を最小限に抑え、寡黙な表情としている。
外壁は杉板の下見板張りで、緑がかった薄いグレーに染めた。
10年後には玄関前に植えたヤマボウシやヤマモミジとよく馴染んでくれると思う。
菜園も計画されている庭は、前面道路からの騒音や視線を遮るように杉板の塀で囲った。塀の前後にもモッコクやカツラなどを植えた。
- 内部空間
- 開口の少ない西面に対して、庭のある南面は一階では合計で巾4mの掃き出し窓、二階では巾6.2m、高さ1.3mの腰窓を設けている。南側屋根は軒を1mほど延ばし、また一階の開口には出巾70cmの庇を設けて、夏の陽射しを遮ると同時に外観のアクセントとしている。
主室の大開口には障子のほかに簾戸を用意し、それぞれ左右の戸袋に仕舞うことが出来る。
主室は 壁と天井を天然鉱石系の塗り壁で仕上げられた白い空間で、ナラ材で作られた家具をバランス良く配した。
ダイニングテーブルの天板は厚さ8cmのサペリという材で製作した。脚は鉄製。
食卓の天井の一部はスノコの敷かれた吹抜けとなっており、北側の階段室とで建物内部の空気の循環を促している。
二階は屋根なりの勾配天井として、包み込むようなおおらかな空間とした。
- 設備
- 奥行き750のキッチンは大工と建具屋の手による製作である。トップはステンレス。
引出し類は最小限にしてコストバランスをとっている。
二階の手洗いは巾1690の人工大理石のカウンタ―で、ゆったりと使える。
暖房は床下に設置されたエアコン、冷房は階段室に取り付けられたエアコンによって全館冷暖房を行う。
- 構造規模
- 木造在来工法二階建て
一階床面積 67.90㎡(約20.5坪)
二階床面積 57.97㎡(約17.5坪)
延べ床面積 125.87㎡(約38坪)
- 性能
- 南面以外の三方の壁面は押出発泡ポリスチレンフォーム t=50による付加断熱
屋根面はセルロースファイバー吹込み t=270 + XPF t=50
耐震等級 2以上
Q値 1.09 [W/㎡K]
UA値 0.39 [W/㎡K]
暖房負荷 29.0 [kWh/㎡]
冷房負荷 14.2 [kWh/㎡]
空調方式 床下エアコン+二階(階段室)エアコン