アートと生活『sketch&note』アトリエのある家 「山木戸の家B」
アートと生活『sketch&note』アトリエのある家 「山木戸の家B」
設計/maヤマシタマコト 設計補佐/小林紘大 監督/波潟靖 アトリエ施工/古道具ハチミツ
- コンセプト
- 新潟市東区の住宅地での建替え計画である。
既存建物には小さいながらも豊かに育った庭木があり、また玄関へのアプローチも立派な石段で作られていた。
これらの残すべき要素に考慮しつつ、シンプルに暮らすための家と版画家である奥様のためのアトリエを計画した。
なお、オガスタのオリジナルワインに貼られているラベルは、この奥様の手によるもの。
- 外観
- あまりにも立派な石段のアプローチゆえ、これはそのまま活かすこととした。
自然と玄関の位置がきまり、玄関から左の下屋がアトリエ、右が住居という構成である。
外壁はガルバリウム鋼板でくるみ、ファサードの一階部分と二階の窓廻りは杉板を用いた。
玄関脇のルーバー建具はアトリエに通じる躙り口になっているが、これは施主のアイデアによるもの。
既存の塀や庭木を活かす計画のため、その背後に建つ建物が白々しくならず、以前からそこにあったような印象となるよう配慮した。
- 内部空間
- 住宅部分は、質素な空間としてまとめた。
白く張り上げられた低い天井、コの字型のオープンキッチン、小上がりの畳スペースなどがつながり、どこからも庭の緑を楽しむことが出来る。
二階はオープンな空間として用意し、主寝室と脱衣所のみ建具で仕切られる。
アトリエは雰囲気をがらり変えて、シックなトーンでまとめている。
床は足場板のようにざっくりとした印象に仕上げ、天井はラワン合板、壁はモルタルコテ仕上として、どこか木造校舎のような雰囲気がある。
施主と設計者とで古道具屋をまわり、建具や小物を集めて、内装工事の一部も、施主自ら行った。
施主の強い思いが結晶したような空間になった。
- その他
- 打合せのあいだ、施主がずっと気にしていたのは、一緒に住む犬のみやびのことであった。
迷い犬であったという臆病なみやびが、この家でのんびりと過ごせたらと願う。