「酒と食まわり まみあな」
設計:ma ヤマシタマコト/監督:小林 秀昭
- コンセプト
- 創業50年になる、新潟の日本酒のみを扱うという酒屋に併設される居酒屋の計画である。
新潟県には、日本酒の酒蔵が大小あわせて89もあるという。
この店では、さまざまな新潟の地酒を楽しめるとともに、それらの良さを最大限に引き出す料理が供される。
そしてなによりユニークなのは「昼飲み」の店であるということだ。お昼に開いて、夜には閉まる。
店名の「まみあな」は、漢字にすると「狸穴」つまりタヌキの寝ぐらを指すという。
大人たちが昼間からこっそりと集まって美味しい地酒と料理を頂戴する、そんな穴ぐらがデザインモチーフとなった。
- 外観
- 既存店舗部分にひっそりと寄り添うように、低く、小さく、そしていたって地味に。
ともすると野暮ったくなるくらいの、ギリギリの意匠を狙った。
外壁は土色のそとん壁。入り口の引き戸は再利用された蔵戸。
外部には雨水を集める小さな池を用意している。
- 内観
- 薄暗い店内。低い天井。
内部も穴ぐらよろしく藁すさを漉き込んだ土壁とした。
床は土、というわけにはいかないので、墨を入れたコンクリート土間としている。
大谷石を積みあげたカウンターや杉皮張りの建具、持ち込まれる古家具や個性的な照明器具など、
店主のこだわりを詰め込みつつも、それらが破綻しないよう現場で検討しながらひとつひとつ意匠を決定していった。
店舗は住宅とはまた異なった考え方や納まりがあり面白い。