空を掴まえる二階居間 「大野町の家」
設計 ma ヤマシタマコト
監督 小林 秀昭
棟梁 小林大工
- コンセプト
- 敷地は新潟市西区、かつての黒埼町の旧市街地。
多くの建物は建て替えられ、古い町並みを感じさせる要素は少ないが、いわゆる「うなぎの寝床」式に細長く敷地を区切られた宅地が連なっている。
当該計画地も北西から南東に向かって細長く区切られた敷地の一部で、南東側、南西側には隣地の建物が迫っている。
唯一ひらけるのは北東側の畑で、その向こうはビニールハウス、さらにその向こうは駐車場で、町なかにあっても視線が遠くまで抜けた。
敷地形状と周囲の状況から、居間を二階にあげて、空のを広がりを存分に堪能できる北東に大きな窓をとることにした。
- 外観
- 細長い敷地に差し込まれるように配置されるため、通りから見える表情はわずかだが、
かつての町並みを想起させるような妻入りの屋根と杉板縦張りで構成した。
通りに対して玄関ドアがむき出しにならないように玄関ポーチ部分を深い下屋として杉の縦格子で守った。
さらにその手前にはわずかではあるが植栽スペースを設けて少しでも町並みに寄与するように配慮している。
- 内観
- 板張りの玄関を上がり、右手のやや広めの階段を上がる。
上った先は主室である。
間口3間、奥行き2間半の主室はいわゆる舟底天井として、シナ合板張りとした。
南東面の壁もシナ合板張り。唯一視界が抜ける北東側は巾2間のはめ殺しの大きな開口で、光と景色を取り込む。
反対の南西側は壁いっぱいの家具が用意され、机スペース、本棚、読書コーナーで構成される。
- 規模・構造
- 敷地面積:52.95坪
延床面積:28.33坪
木造在来工法 2階建
- 性能
- 耐震等級2以上
Q値:1.09 [W/㎡K]
Ua値:0.37 [W/㎡K]
暖房負荷:29.9 [kWh/㎡]
冷房負荷:16.0 [kWh/㎡]
空調計画:壁掛けエアコン 2台 + アローファン