雁木の家「関原の家」
設計:ma ヤマシタマコト 監督:波潟 靖 棟梁:佐々木大工
- コンセプト
- 敷地は長岡市街地から海へと向かう途中の台地の一角にある。
高台のため風通しが良く、また敷地の南側は中学校であるため、住宅地内であるにもかかわらず、視界が南北に抜ける。
求められたのは、重心の低い床座の暮らし。 そして庭と積極的にかかわる暮らしだった。
また、両親との同居を将来的な視野に入れた予備室、充分な収納、そして一階に水回りをまとめることが求められた。
さらに豪雪地であることから、雪と上手に付き合っていくための工夫を考えた。
- 外観
- 道路に面する北側は閉じて陰影の深い寡黙な表情とした。
母屋の幅いっぱいに奥行き5尺の雁木を設けた。これにより雪から玄関周りをしっかりと囲うと同時に、自転車や室外機も雪から守るようにしている。
雁木には細かな縦格子を施し、雪が雁木内に入りにくくするとともに、外観上のアクセントになっている。夜には行灯のように格子から光が漏れる。
南側は対照的に開口部の多い豊かな表情とし、深めのデッキで庭との繋がりを作った。
デッキ下にはエアコン室外機を設置して、雪に埋まってしまわないようにしている。
- 内観
- 床座を想定した主室の床は、柔らかい杉の無垢フローリングで仕上げた。
天井は色味の濃いラワン合板とし、天井高さを2200mmとやや低目に設定した。
南側の一間半の開口は床から300mm上げて、床に座したときの落ち着きがより際立つようにしている。
この開口の上部にはプロジェクター用のスクリーンが用意されている。
外部デッキは開口の高さに合わせている。
主室と台所は高さ1300mmの家具で仕切られている。この家具は台所収納であり、主室側収納であり、テレビボードでもある。
さらには床下エアコンが仕込まれている。
玄関からは主室を通過することなく、水回り、収納を通って予備室へ繋がるようにしている。
- 空調計画
- 暖房用の床下エアコンを主室に、冷房用の壁掛エアコンを階段の上部に設置し、基本的にはこの二台で運用する。
この家にはいわゆる吹き抜けがないため、上下階の空気の流れを促すために、2階エアコンのすぐ脇に一階に繋がる煙突状の空気の抜け道を設けている。
この道は夏季に威力を発揮する。エアコンの冷気が階段に沿って一階に降りていき、押し出されるように一階の暖気が二階に持ち上げられる、という仕組みである。
- 規模・構造
- 敷地面積:117.03坪
延床面積:36.18坪
木造在来工法 2階建
- 性能
- 耐震等級3
Q値 :1.09[W/㎡K]
Ua値:0.34[W/㎡K]
暖房負荷:29.0 [kWh/㎡]
冷房負荷:14.2 [kWh/㎡]